しっとりと・・・高橋治の「風の盆恋歌」

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息子に「この本よかったよ」と借りた、高橋治の「風の盆恋歌」作者の名前は聞いたことあるけど、作品を読むのははじめて。本の帯には“恋愛小説の巨星 高橋治の代表作”とうってある。へー、恋愛小説か、ちょっと苦手ジャンル・・・。そう思いながら、舞台が大好きな金沢ということもあって、とにかく読んでみることにした。ん〜、読みやすい!なんだこの読みやすさは。
するするするする読み進めてしまう、そしてまるで2時間ドラマのような展開。
高橋治「風の盆恋歌」
ストーリー展開がまるで脚本のようだ・・・と思っていたら、なるほど、Wikipediaで調べてみたら松竹で助監督をやっていて、同期に篠田正浩、同年代に大島渚山田洋次がならんでいる。一時期、小津組にもいたとか。
だからか、文章を読んでいると映像がありありと浮かんでくる。
実のところ、高橋治は恋愛小説だけを書いているのではなくて、様々なテーマで作品を残している。本著に関しては、俗っぽくなるけど、中年男女の不倫の話し。
タイトルにある「風の盆」が舞台となっている。富山のおわら風の盆のさなかに逢瀬を重ねるストーリーなんだけれど、描写が実に美しい。文章を読むと同時に風の匂いや水の音、湿った雨の感じ、そして何よりも風の盆の胡弓の音、優雅な踊りまでもが浮かび上がってくる。これが「映像をみているよう」なのかもしれない。
実際、高橋治は八尾市のおわら風の盆をとても大切にしていたそうだ。
その想いが踊り手の指先や呼吸までも繊細に伝えている。
この本が出版されて「おわら風の盆ブーム」が起きたそうだけど、確かにこの目でみたくなる。でも、そっとしておきたい気持ちにもなる。
単に恋愛小説というより、風の盆にまつわるある男女の話し・・・としたい、それほどに描写の美しい小説だった。

うずたまの勝手な評価は

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