土が喰いたくなる1冊、水上勉「土を喰う日々」

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この本を知ったのは、NHKの何かの番組。どんな番組だったか忘れたけど、畑の映像だけうっすら覚えているから、園芸番組か料理番組だったのかな?
それよりも、この本に惹かれた。
“土を喰う”というインパクとのあるタイトルと著者が水上勉だということで、どんな内容かも構わず即Amazonで本を注文。

水上勉は中学生の時に「ブンナよ、木からおりてこい」という童話を読んだことがある。この本から、拾ってきた猫に“ブンナ”と名付けた。でも、それっきりで他の作品を読んだことがない。
水上勉「土を喰う日々」
Amazonで本を注文したことで満足したのか、
そもそもどうしてこの本が番組で紹介されていたのかも忘れている。
水上勉に申し訳ない。
でも、変な知識を頭に入れず本を読めたのは良かったと思う。特にこの本に関しては、読後つくずくそう思わせる本だと思う。
水上勉「土を喰う日々」
本著は12ヶ月ごとに食物を育てる苦労、だからこそ旬の野菜を収穫する喜び、そしてその食物にまつわる著者の思い出と料理とが綴られている。
水上勉は貧困から幼い頃に禅寺に小僧として修行に出された。豊かな時代に育ったわたしからしてみれば、甘えたい盛の頃に親元を離れ、厳しい修行を重ねた毎日はどれほど寂しく辛いものだったのだろうかと思う。
わたし自身、子どもの頃に大人の諸事情で親が不在で食べたいものも食べられない日を過ごしたことがあるが、
それでも、水上勉の体験とは「自由」があるかないかで、その厳しさがずいぶん違うのではないか、と感じた。
禅寺の修行の厳しさは計り知れないものがある。

その修行経験から、水上勉が季節ごとに精進料理を紹介しているのだが、これが実に旨そうなのだ。
庭の脇に生えてくるみょうがでも火加減、塩加減ひとつで絶妙な味となり、それをもって生きる力と悦びを与えてくれている。
“土が食物を育てる、旨い食物は土の香りと味がする”
地中で育つゴボウなどは、噛めば噛むほどその土の味がするというわけだ。
なるほどな、それこそが「滋味」ということなのだろうと
本著を読むと感じるのである。
水上勉「土を喰う日々」
あえて予習なしでこの本を読んでよかったと思うのには、
読み手の感じ方で、この本がエッセイ、料理本・・・と、変わること。様々な捉え方で読める本だと感じられるからだ。
控えめで飾りのない文章には著者の人柄が。
それでいて、どっしりとした包容力。実に良い本である。
読後、あぁ・・・土を喰ってみたいものだとしみじみ感じるのもこの本の魅力のひとつだろう。
水上勉「土を喰う日々」

うずたまの勝手な評価は

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